バルトのあんな話、こんな話



在エストニアロシア人学生向けエストニア語の授業が必修に!

9月3日新学期を向かえた在エストニアロシア人学生達は、今年度より教育システムの漸進的な(?)改革の一環 としてスタートしたエストニア語の授業を受講することになりました。 でも教育省当局は少々その効果を疑問視、なぜなら今回は63校のロシア学校のうちの34校の第10学年のみを対象に、 1週間にたった1時間の授業の追加しかないからなのです。 2011年までには、ロシア学校第10学年の科目のうち60%はエストニア語で行われることになっているので、 初年度である今年は、まずエストニア文学の科目からエストニア語化がはかられ、 今後この改革は科目別に徐々に導入されていく予定とのこと。

3年前ラトビアで同じ改革を始めた時には「怒りの渦」が発生しました。 今回の改革にはそれほど激しくはありませんでしたが、やはり異議を唱える声は上がりました。 国境の町、ナルバのある学校での改革開始セレモニーの際、 ロシア人の総領事は学生達に自らの言葉を守り続けるべきであると演説、 「エストニア語を学ぶことも大切だけれども、母国語であるロシア語を学ぶことを忘れ ないことも非常に大切なことである」と語ったとAP通信は報道しています。

しかしながら、教育省・少数民族教育局長官は、きわめて楽観的。 なぜならロシア語で行われる大学のコースは極めて限られている為、若者が高等教育に進 めるかどうかの展望は、必然的に彼等のエストニア語の理解力如何にかかってくるからなのです 。「私は、この数週間の間で、恐らく過去一年前よりはずっとエストニアのロシア人社 会の理解が進んだと感じている。私は理想主義者であるが、いずれ近い内に2つ、 あるいは3つに分かれているエストニアが一つになることができると期待している」と までこの少数民族教育局長官は語っています。

今回の改革は34校で実践されていますが、残りの29校では既にエストニア文学の科目を自国語で教えており、 私立のロシア学校5校もまた自発的な改革を行っているとのこと。 「エストニア文学は、単に9つある文学コースのうちの1つであり、35時 間の授業で構成されているにすぎない。第10学年で1週間に1回たった1時間のエス トニア文学の授業があるということは大きな変化ではないが、最 初の一歩である」とも少数民族教育局長官は語っています。  9/5 Baltic Times

Ilvis大統領の新学期「Kowledge Day」スピーチの内容

Toomas Hendrik Ilves大統領は、新学期開始にあたっての“Knowledge Day” 演説の中で、無謀運転の交通文化と戦うよう呼びかけました。

「遺憾ながら、私には子供の代わりに多くの大人が学校の机に向かうべきではないかと思 える」とIlves大統領。「わが国の交通の現場で起こっていることは忍耐 の限度を越えつつある。自分自身や他者に対する無関心、スピード違反、飲酒運転、シ ートベルトを締めないで運転することなどが、尋常ならざるスピードでわが国の道とい う道に“死”と“苦痛”の種を蒔き続けている。 独立してから16年間で4000人以上の命が奪われたが、これは“Poltsamaa”という町 の全人口に匹敵する」とIlves大統領は指摘しました。

「多くの子供たちが親を失い、 また耐え難いほどの数の子供達が学校に行けずに交通事故の怪我の 治療に当っている。」大統領はドライバーに車のスピードを落とすようにアピールすると共 に、市民に対して“無謀運転者、すなわち潜在的な殺人者と戦う”よう呼びかけました。

このコメントは、8月1ヶ月間の交通事故死が31人(1日1人の死者)という驚異的な 数字に応える形で出されましたが、“大人が学校の机にむかうべき”という言葉がでるほど マナー違反のドライバーが多いようです。たしかにタリン市内では運転は怖くて出来ないなと、 タクシーに乗る度に思います。日本でもかつて“交通戦争”という言葉が 使われましたが、幸い現在では毎年交通事故死の数は着実に減っているようです。やはり交通マナー の徹底が必要なのでしょう。それでも日本では毎月400名強の人が亡くなっています。 うーん、人口比にすると、さてどちらがどうなるのでしょう?